冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
頬をぷうっと膨らませて軽く睨んだ。


「嘘だよ」


彼はニヤニヤ笑いながら手を伸ばしてきて私の頬を軽くつまむ。


「ひゃっ」


あれれ。機嫌がいい。
どうしたんだろ。


もしかしたらさっきの私の話、ちょっとは響いたのかな?


「肩揉みありがとうな、スッキリした」


「ほ、ほんと?よかった」


「うん」


そして彼は私に近づき上からジッと覗きこんできた。


見つめられるとどうしたらいいのかわからない。


うそっ、これってもしかしたらキスのタイミング?


だって彼の手だって私の頬にあててるし。


え、え、どうしょう。うれし……。


こういう時って瞳を閉じるべき?


そう思ってたら。


「今日はもう20分経ってたから明日は無しな」
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