冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「あの、それは私と千景くんとの2人の問題ですし。
私たちには私たちのやり方って言うか、私たちらしいお付き合いの仕方があるから。
他の人から見たら変に見えるかもしれないけど、私は千景くんを信じてるから……」


俺と伊達は唖然としながら彼女をまじまじと見つめる。


「あ、だからつまり、私は毎日10分でも充分満足してて……。
千景くんの勉強や生活のペースを崩したりしたくないなって思ってて」


彼女は真っ赤になりながら一生懸命に伊達に反論する。


こうもはっきりと自分の意見を持ってる彼女に正直驚いていた。


俺なんて自分の都合を彼女に押しつけてしまってるだけなのに。


彼女はそんな俺の事情を受け入れようとしてくれているんだ。


しかも凄く前向きに。


「わかった、わかった」


伊達は苦笑しながら、俺の肩を小突く。
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