冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。



「はあ。千景くんと早く手を繋ぎたいな」


昼休み、お弁当を食べながら妄想に取りつかれていた私。


「花、また心の声が漏れちゃってるよ。大丈夫?」


ちえりちゃんは危ない人を見るような目で私を見ている。


私の色ボケ全開の発言にかなり引いているみたい。


「ううん、大丈夫じゃないかも。だって刺激が強すぎて、癖になっちゃいそう」


「一つ確認なんだけど、手を繋いだってだけだよね?」


不思議そうに尋ねてくるちえりちゃんに、コクンと返事をする。


「うん、そうなの。これでもう5回目くらいかな」


自分の頬に手を当てて、うっとりと息を吐いた。


気分はもう、経験豊かな大人のオンナって感じ。(注 手を繋いだだけです)


「手を繋いだだけで、そこまで喜べるなんてある意味才能かもね」
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