冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
17歳の男子とは思えないくらいの女子力満点の美少女フェイスは心なしかやつれているようないないような。


「えと、やだっ、拓海くんたらさっきの話聞いてたの?」


ひえっ、いくらなんでも恥ずかしすぎる。


さっきから私ったらノロケまくっていたよね。


「聞いてたよ、あのムッツリ10分男め、花の手を握りやがって……」


悔しそうに頬を膨らませる拓海くん。


「ちょっと、私の千景くんに変なあだ名をつけないでくれる?」


聞き捨てならないことを言われて、すかさず言い返した。


「私のって……花、あんまりだ。俺のお嫁さんになるって約束してくれたのに」


拓海くんは大袈裟にため息を吐いて、頭を抱える。


もう、また昔の話。


あのね拓海くん、幼なじみのそんな約束、今どき漫画の中でも流行らないよ。
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