冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「だから、子供の頃の話でしょ。もうそんな話いちいち持ち出さないでよね」


「花ー。俺の方がもっと大切にしてあげられるのに。
あんな1日10分しか会えないなんて言うやつのどこがいいんだよ」


そう言いながら彼は身をかがめて座っている私の後ろからそっと抱き着いてくるので、さすがにプチンってブチギレた。


すっくと立ちあがりフーッて深呼吸。


「もうっなにするのよ、このヘンタ」


イーって言いながらすかさず振り返りざまに思いっきり、キックをお見舞いした。


バシンッ。


キマッた。


小さいころから拓海くん相手にプロレスごっこをしてきたからついつい条件反射。


「いてっ」


だけど、私のキックが当たった相手は拓海くんよりも足が長くて。


その上声も低い。


「えっ?」
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