冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
ぼんやりしていたところに、いきなりの不意打ちでそんなことを言ってくるから心臓がビクッとした。


あれ、なんだこれ?


ドキドキドキ。


顔が熱くなってきた。


最近、俺は少しおかしいのかもしれない。


気を抜いたときに彼女の顔が頭に浮かんだりすることがある。


この時もそんな感じで。


そうか電話じゃ花の顔が見れないよなって自分でも思ったりして。


「いいよ」


ふと彼女の無邪気な笑顔が頭に浮かんで、喜ばせてあげたくなった。


だから、思わずオッケーしてしまったんだけど。


電話を切った後にマズいかもしれないと思った。


うちの弟妹は騒がしいから花がびっくりするかもしれないな。


そう思っていたらリビングに弟の直樹がやってきていつものように俺に頼みごとをしてきた。


「兄さん、後で勉強を教えてくれるかな?」


「ああいいよ」
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