冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
俺の時間を湯水のように奪っていくが、大家族の長男としては仕方がないんだよな。


昔から運命だと思ってすんなり受け止めている。


しかし……。


「おい、達樹(タツキ)。お前も手伝えよ」


さっきからリビングのソファの上で寝転がってゲームをしている中二の3男達樹(タツキ)に怒鳴る。


「あ?うっせーな。女と話してる暇人がやれよ」


金髪の髪色、耳にピアス、ヤンキー丸出しのスエット上下。


我が家の一番の問題児。


「それは俺のことか?」くそ生意気な弟をギッと睨む。


達樹と目が合っただけで、戦闘態勢になる俺はまだまだ人間が出来ていないようだ。


「おう。兄貴のことに決まってるだろ。やんのか?」


喧嘩が弱いくせになぜかいつも吹っ掛けてくるので、ゲンナリだ。


「やんねーよ。クソガキ」


絶賛反抗期中の達樹に構っている時間はもったいない。
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