冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
昔は兄ちゃん兄ちゃんと俺の背中を追いかけてきたのに中学に入ってから、周りの影響もあって不良きどりなんだ。


だけど、根はやさしい奴なのでそのうち気づくだろう。たぶんそのうちに……。


「あ?なんだと」


ソファから起き上がった達樹はこっちに歩み寄ってくる。


わざと洗濯物を踏み散らかしていく。


「たつ兄、それたたんだのに蹴らないで」


「たつ兄、ダッサ。いつもチー兄に勝てないのに」


「たつ兄うるさい、あっちいってよ」


三つ子の散弾銃のような攻撃に絶句する達樹。


「おまーら、兄貴がいたら強気になりやがって……」


なぜか1対3で睨み合う弟妹達。


そのうちギャーギャー言ってもめだしてしまう。


「おまえらやめろって」


むなしく響き渡る俺の声はもはや届かない。


うちはいつもこんな日常だ。


まるで動物園のよう。
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