冷たい千景くんは１０分だけ私の言いなり。
「お嬢様、到着いたしました。私はこちらで待っておりますので」　


「ありがとう、香川さん」


運転手の香川さんは定年退職まじかの白髪頭のおじいちゃんでとっても優しい。


今日もお父様には内緒でこっそり車を出してくれて千景くんの自宅まで連れてきてくれた。


あと2時間もすればパーティーが始まるので、私はこの時いつもよりもフォーマルな服装だった。


きちんと感のある清楚な白いワンピースは海外のブランドから取り寄せてもらったもので、家族からは凄く似合ってると褒めてもらえた。


髪も綺麗に巻いてもらってお化粧もいつもよりも念入りにしてもらっている。


実はせっかくおめかししたので、彼に見てもらいたいなって思ったんだ。


そして、彼に少しでも可愛いって思ってもらえたらいいな。


千景くんの自宅近くで降ろしてもらった私は周りをきょろきょろ見まわした。
< 164 / 351 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop