冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
だけど、よろけた私はすかさず彼の胸でキャッチされた。


私の肩に乗せられた彼の大きな手。


「わっ……あぶね」


見た目よりもずっとたくましいその胸板に顔をうずめたら、カアアッって身体中が熱くなる。


同時にこの場所からもう動けなくなってしまう。


離れたくない。ずっとここにこうしていたい。


「え……」


彼の戸惑ったような声が聞こえた。


私は彼の背中に両腕を伸ばしていた。


「お願い、もう少しだけこのままでいて。あと残りの時間全部こうしていたい」


「……ああ」


「ごめんね。2日間も会えなかったから……だからだから」


千景くんが足りなさすぎて、変になっちゃったのって言ったら呆れられてしまうかな?


部屋にきて会話もそこそこに早速抱き着いたりして恥ずかしかったので言い訳をした。
< 177 / 351 >

この作品をシェア

pagetop