冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「私、鷹月花って言います。お兄さんとお付き合いをさせてもらっています」


ペコッてお辞儀をする。


さっきまでイチャイチャしていたくせに今更真面目ぶった顔をしているのが、超絶恥ずかしい。


「え、ちょっ、鷹月って名前?もしかして兄貴の高校の社長と関係あるの?」


「あ、社長って言うかうちの父は鷹月学園の理事長をしていて」


達樹くんが目を丸くして尋ねてきたので説明した。


すると達樹くんは鼻の頭にしわを寄せて変な顔をする。


「なんだよ、それでか。
変人で女嫌いの兄貴が彼女を連れてくるなんておかしいと思った」


したり顔で口をゆがめてクッと笑う。


「え?」


「ほんと兄貴は抜け目ないよなー」


達樹くんが意味ありげな言い方をして千景くんの方を見る。


「おい、何が言いたいんだよ」


これには、千景くんが憮然として達樹くんを睨んだように見えた。
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