冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
彼女に連絡して、今日は綺麗だったよとか言ってみるか。


まてよ、俺にそんなガラにも無いことが言えるのか?


いやいや、慣れないことをするのはやめておいた方がいいよな。


あれこれ考えあぐねてようやくスマホをタップした。


夜道を歩きながら、何度かコール音を聞いた。


「はいっ、えっ千景くん?どうして?」


慌てたような彼女の声にフッと笑みが溢れる。


今日会ったから電話までかかってくるとは思っていなかったみたいで驚いてるみたいだ。


「花、いまバイトの帰りなんだ」


「あ、そっか。うん。どうしたの?」


だけど、彼女はなんて言うか少し上の空っぽくて不自然な感じだった。


ちょっと拍子抜けしたけど耳を澄ましたらその時、電話の向こうから彼女以外の誰かの声が聞こえたような気がした。


しかも、男の声のような。


「まだパーティーやってるのか?」
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