冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「あ、ううん。パーティーは終わったよ。今は自分の部屋にいて」


「誰かと一緒?」


知らず知らずのうちに声が険しくなる。


一体、誰と一緒にいるんだろう。


ふと、嫌な予感がする。


さっきの声はたしかに男だよな。


「……」


彼女が黙り込んでしまうからますます気になる。


その時、一緒にいるそいつの声がはっきりと聞こえた。


「花、あいつだろ?10分」


この声は拓海っていう奴だな。


花と同じクラスで遠い親戚だとか言ってたっけ。


「パーティーが終わった後に拓海くんが、CD貸して欲しいって言って、それでちょっとだけ」


「部屋にいれたのか?」


「う、うん。でもすぐに帰ってもらうつもりで。あ、ちょっとやめてよ、拓海くんのバカ、エッチ」


急に電話の向こうがガタガタした物音がして騒がしくなった。
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