冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「あの、あの、どうかした?千景くん」
「切るよ」
慌てる彼女をよそに最後に冷たく言って電話を切ってしまった。
わかってる、完全に八つ当たりだろこれ。
彼女に悪気なんて微塵もないはず。
わかってるけど、どうしようもないんだ。
もしかして、嫉妬してるのか、俺。
不安はいつのまにか嫉妬に変わっていた。
情けないな。
全然余裕無いじゃん、俺。
そんな自分に呆れて、思わずため息が漏れた。