冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「そっか、雨城くんが嫉妬か。
花、それっていい傾向じゃない。以前にもそんな感じだったけど拓海がからむと雨城くんも理性的じゃなくなるのかもね」


「え、うん。やっぱりそう思う?」


「思う。だったらさこの際雨城くんを脅してやれば?」


「え、脅すってどういうこと?」


「だから、ちゃんと付き合わないと拓海に乗り換えるからねって言ってやればいいんじゃない?」


「へ?ちゃんとって?」


「だから、1日10分なんて馬鹿な約束は撤回させるのよ」


ちえりちゃんは強い口調で詰め寄ってくる。


ひぇー、なんだか圧がすごい。


「そんなこと……言えないよ」


彼がどんなに日々頑張っているのかってことは付き合いだしてからというもの痛いほど伝わってくる。


彼自身のためばかりじゃなくて、家族のために彼の時間は費やされているんだから。
< 199 / 351 >

この作品をシェア

pagetop