冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「いや、拓海はマメさはあるだろうけど。
拓海じゃなくても花がその気になったら、いつでもそんな相手くらい簡単に見つかると思うよ。
なにも雨城くんを追いかけて貴重な青春時代を無駄にしなくても」


青春を無駄にって……。


うっ、そこまで言わなくても。


だって千景くんと過ごしている時間が無駄だなんて絶対に思わないのに。


それはこれから先だって同じこと。


「そんなの……私には千景くんだけだもん。ほかの人なんて考えられっこないよ」


拳をググっと握って大きな声で反論した。


ついつい興奮しちゃって叫んでしまったから、クラスメイトの数名がこちらを振りかえったほど。


「わかったわかった、花の気持ちは揺るがないんだもんね?」


「うん」


恥ずかしかったけど何度もコクコク頷いた。


「じゃあ、そうやって本人にもう一度ちゃんと言ってみたら?」
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