冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「どうして駄目なの?……私のことが嫌い?」


背の高い彼をジイッと見つめると、恥ずかしそうに瞳を細める彼。


「は?嫌いとかそういうことじゃなくて。
ここだと人目に付くだろ。だから」


「じゃあ、誰も見ていないとこでならくっついても構わない?」


「……うん、まあそれならいいけど」


「嬉しい、千景くん」


ぱああっと明るく笑って、彼の腕により一層つよく抱き着いたら、ハアッとため息をつかれた。


「って、なに言わせるんだよ」


「だって、昨日お部屋で抱き着いた時は逃げなかったのに」


背伸びして、彼の耳元にヒソヒソとささやく。


そしたら彼が照れ臭そうに耳たぶを触るから可愛いと思った。


「また千景くんのおうちに遊びに行ってもいい?」


「いいよ、でも悪かったな。弟たちが変なこと言って」
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