冷たい千景くんは１０分だけ私の言いなり。

「花、もう満腹だから。あとは持って帰って食べていいかな？」


「うん、いいよ」


花は満足したようにニコニコ笑っている。


それもそのはず、クッキーを10枚以上は食べたからな。


俺、頑張ったよな。


心の中で自分をそっと褒めているとこちらへ走ってくる奴が視界に入った。


あれ？こいつ確か拓海とかいう花の幼なじみじゃないか。


「花ー、ひどいじゃないか。あんまりだよ。
そいつにもクッキーを作ってあげるなんて」


頬を膨らませて怒っているんだけど、その顔が子供っぽくて笑いそうになった。


いかにもお坊ちゃんって感じの線が細くてナヨナヨした奴。


どうも花のことが好きらしいけど、気持ちだけがカラ回りしているようだ。


「拓海くん、何しにきたの？せっかくの千景くんとの時間を邪魔しないでよね」


花は心底迷惑そうに言った。