冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
しかしまあ、毎朝よく転ぶよな。


いいかげん、諦めたらいいのに。


なんとなく、彼女が普通学科の女子達から疎まれていて弾き飛ばされているんだろうなっていうのはわかっているんだけど。


可哀そうとか、そんな風には思わない。


悪いけど、やっぱり迷惑なんだよな。


こうして俺が河井先生に呼び出されてその分、貴重な時間を無駄にされるんだから。




「雨城くんは朝から、本当に人気者だな」


河井先生は嫌味っぽい笑みを浮かべながら言う。


総合セレブリティコースの校舎は普通学科の校舎とは比べ物にならないくらい豪華だ。


高そうな壁紙に絵画が飾られていたり、床にはフカフカのじゅうたんが敷いてあったり。


ここは学校だよな、ホテルじゃないよな。


こっちの校舎に来るたびにそんな錯覚に陥るんだけど。

< 22 / 351 >

この作品をシェア

pagetop