冷たい千景くんは１０分だけ私の言いなり。
はっきり言って拓海くんと子供の頃にしたキスも結婚の約束もぜんぜん記憶に無い。


だけど、彼やうちの両親が、ことあるごとにそんな話をしてるから多分間違いないんだろうな。


でも拓海くんは小さい頃から兄弟みたいな感覚だった。


だからそんな風に言われても全然ピンとこないの。


ただでさえ私、自分に自信なんてあまり無い。


千景くんに釣り合うなんて思えないし、悲しいけどそこまで自惚れることもできなかった。


ただただ、彼が好きで好きで。


好きって気持ちだけは誰にも負けないつもりだったのに。


彼の前であんなことを言われたら、私の千景くんに対する気持ちが疑われてしまうような気がして怖かった。


実際千景くんにしたら、私の過去のことなんてどうでもいいのかもしれないけど。


私にとっては凄くショックだったの。

< 220 / 351 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop