冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「そうだけど、別に拓海くんには関係ない」


「花は騙されてるんだよ。今にみてろ。そのうちあいつの化けの皮が剥がれるから」


「なによ、それ。拓海くんには関係ないでしょ」


また千景くんの悪口が始まりそうで、ムッとした。


「だってそうだろ、絶対おかしい。
あいつ、これまでいっぱい女子を振ってきたらしいじゃん。どうして花の告白だけ急にオッケーする気になったんだよ?」


「え、それは……」

そんなこと私にだってわかるわけない。


彼に告白して振られた人の中には、私よりもずっと美人な人だっていたらしい。


それなのに、どうして私だけ?


私が、他の人と違うことと言ったら……。


そこまで考えて、慌てて頭をよぎったものを打ち消した。


違う、そんなわけないよ。


「私は信じてるもん、千景くんを。だから私の気持ちは変わらないよ」
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