冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「花、みんながなんて噂してるか知ってるだろ?」


だけど、なおもしつこく拓海くんは不満げに言ってくる。


「……」


もうこれ以上拓海くんと、このことを話しても無駄みたい。


それにいいかげん、腹が立ってきたので無視して昇降口への階段を降りていった。


「花、ごめん、もう口を閉じるから。
絶交だけはかんべんして」


後ろから、寂しそうに私の名前を呼ぶ彼の声がしたけど振り返ってあげなかった。


もういい、たとえ誰に理解して貰えなくたって。


たとえなにがあっても。


私が千景くんを好きな気持ちは変えられるわけがないんだから。




「千景くーん」


いつものように正門前で待っていたら、普通学科の校舎から授業を終えた千景くんが出てきた。


目があうと少し急ぎ足になる彼。


「わるい、待った?」


「ううん、今きたとこだよ」
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