冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
今日もキラキラ輝くばかりにイケメンな私の大好きな彼氏。


千景くんの端正な顔を見たら、自然に頬が緩んで顔が熱くなる。


心ばかりか、身体まで反応しちゃうくらいに彼は私にとって特別な存在。


「花」


私の名前を呼びながら手を伸ばしてくる彼に、弾むように一歩近づく。


「うんっ」


もう私の希望はお見通しみたい。


手を繋いで、駅まで一緒に歩きたいって気持ちを、口に出さなくてもわかってくれている。


ニコッと笑って彼の手に触れたらギュッと力強く握ってくれた。


いわゆる恋人繋ぎっていう繋ぎ方じゃないけどこの方が彼らしい。


私を見て、一瞬瞳を細める彼。


「なんでかな、花に会うとなんか気が緩むんだよな」


「え?緩むって?」


「花の顔を見ると全身から力がぬけてくんだよ」


「えーっと、それっていい意味で?」


彼は少し考えるような仕草をしてから、急に意地悪な顔になる。
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