冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
しかしここは、決してホテルの一室ではなくて残念ながら学校の生徒指導室なのだ。


そして不名誉なことに俺は注意を受けているわけだ。


「はあ」


納得がいかなくて曖昧な返事しか出てこない。


「しかしね、正門前であんな騒ぎを起こされたら困るよ。以前にも注意したはずだよね」


先生もこんなことを言いたくなさそうで苦笑いしている。


「騒ぎってなんのことですか?」


とぼけたように聞き返したら先生はちょっとムッとする。


「だから、君、転んでけがをする女子生徒がいるのはまずいよ。
もっと気を付けないと」


「はあ」


なんだよそれ、別にお嬢様が転んだのは俺のせいじゃないだろ。


「まあ、君はハンサムだから女子から人気があるからなあ。いやあ、罪つくりなことだ」


罪作りって……。


なんだかわけのわからないことを言ってため息を吐く先生。

< 23 / 351 >

この作品をシェア

pagetop