冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「ああ。なに?」


「体育祭の競技種目でカップルで出場できるものがあってね。私と一緒にそれに出て欲しいの」


「カップルで?どんな種目?」


なんとなく嫌な予感がしておそるおそる尋ねた。


なんか去年の体育祭でそういうのを見た記憶があるな。


「ラブラブカップル障害物競走」


「……は?」


なんだそりゃ、思わず椅子からひっくりかえりそうになった。


思い出した、去年体育祭で見た笑ってしまいそうなくらいお粗末な競技。


片腕を紐かなんかで結んだカップルが、障害物や出されたお題をクリアしながらゴールを目指す種目。


はたから見たらただバカップルがいちゃつく姿を見せられるというはた迷惑な競技だ。


去年あれを見たとき、天地がひっくり返っても自分はああいうことは出来ないなって思ったものだ。


「出ないとダメか……?」
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