冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
思わずテンションが下がってしまったのを、花にはすぐに伝わってしまった。


「そんなに嫌?」


消えいりそうな寂しそうな声。


しょんぼりする花の顔が目に浮かぶ。


「嫌って言うか……そういうわけじゃないけどさ」


ほんというとすっげー嫌だけど、花が出たがっているから無下には出来ないんだよな。


「あれ、でもさ俺と花は学科が違うから一緒には出られないんじゃないか?
点数の問題とかあるだろ?」


その時ちょうど断る口実が思い浮かんだ。


わが校の体育祭は、学科対抗戦になっているから、違う学科同士のカップルの俺たちは一緒には出られないはずなんだ。


「うん、それがね。今年からは学科ごとの垣根は取り除いてみたらどうかって案を出すつもりなの」


「今年からって、そんなことができるのか?」


出来たとしたってかなり大仕事なんじゃないか?


実行委員長の花が提案するつもりなんだろうか?
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