冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
普通学科とセレブ学科の間には根深い対立が昔からあるらしいし、わざわざそんな骨の折れることしなくても。


ただでさえ、実行委員長の仕事はなにかと大変なはずだから。


「花、なにもその競技のためにそこまで頑張らなくても……」


「ううん、そのためだけじゃなくて。これはなんていうかもっと大きな目標のためなの」


「大きな目標って?」


「えっとそれはまだ恥ずかしいから言えないけど、そのうち必ず話すから」


「花?」


なんだろう、花が俺にも話してくれないことがあるなんてちょっと寂しいんだけど。


「あ、そろそろ10分経っちゃうよね。じゃあ切るね」


「……うん、わかったよ。でもくれぐれも無理はしないようにな」


でも本人は凄くやる気になっているみたいだから、応援してあげないといけないよな。


「あ、うん。最後に千景くん私にがんばれって言って」
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