冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「千景くん、大好きっ。おやすみなさいっ」


彼女が最後の言葉を言い終わると同時に電話を切られてしまった。


「おい、勘弁しろよな」


気が付けば心臓がバクバクして顔も熱くなっていた。


そっと胸に手をあてて、ハアッて大きく息を吐く。


花、おまえ俺に何をしたんだよ。びっくりして心臓が止まるかと思ったぞ。


しばらく会えていないから、久しぶりに聞いた彼女の好きって声に異常なくらい反応してしまった。


運動会の実行委員長なんて花にちゃんと務まるのかな。ほんとうは困ってやしないだろうか。


だけどその他にも心配の種があった。


花は確かに委員の仕事で忙しいみたいだけど、会えなくなったのは河井先生に注意を受けた直後だった。


このタイミングってどうなんだ?


先生は俺が花を無視していた時は仲良くしろなんて言ってたくせに、付き合いだしたら嫌な顔をしてきてどういうつもりなんだよ。
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