冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
大体、俺はそんなに暇じゃないはず。


そうだ、彼女に振り回されるなんて俺らしくないよな。


今やるべきことをやらないと。集中集中。


今は勉強をしていたんだった。


「よし、やるぞ」


だけど、いくら教科書とノートを見ても気持ちのモヤモヤはすぐには消えてくれなかった。


頭の中には花のあの呑気な笑顔が現れては、俺をせつない気持ちにさせるんだ。


ほんとに俺、どうしちゃったんだろう。


つい数ヶ月前の自分がうまく思い出せなかった。


花と付き合う前の俺はそれこそマシーンみたいに予定をこなしていたはず。


そんなにキリキリと自分を追い込んで、なんの癒しもなくて。


一体、何が楽しくて生きてたんだろう。


もしかしたら、あのまま張り詰めたように生活していたらいづれ限界がきていたのかもしれないな。
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