冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「え?拓海くん考えてきてくれたの?」


「あったりまえだよ、昨日は徹夜して他にもいろいろ準備してきてるからね。少しでも花の負担を減らしてあげたいから」


確かに彼の可愛らしい瞳の下にはクマが出来ている。


「ありがとう、拓海くん、助かる」


「いやこんなことくらい、朝飯前だよ。それに俺だって副委員長としてもっと頑張らないとね」


彼は誇らしげに自分の胸を叩いてみせた。


「うん、凄く助かってるよ、ホントにいつもありがとう」


ニコニコ笑ってお礼を言う。


私が体育祭の実行委員長に立候補するやいなや彼も副委員長に名乗りを上げてくれて、何かとサポートしてくれているんだ。


正直言ってあんまり彼には期待していなかったので、驚いていた。


どちらかと言えば、お坊ちゃんぽくて頼りない雰囲気の彼が率先して委員の仕事に取り組んでくれているのだから。
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