冷たい千景くんは１０分だけ私の言いなり。

「拓海、やるじゃん。ちょっとだけ見直したぞ」


「おう、俺もやるときはやるんだよ」


隣の席のちえりちゃんに褒められて嬉しそううな拓海くんは続けてこんなことを言った。


「委員の仕事で花としょっちゅう一緒にいられるし、こんなに幸せなことってないよ。
花も最近はあいつとは会っていないみたいだし俺ほんとに嬉しいんだ」


無邪気に笑う拓海くんに、ちえりちゃんは眉をひそめる。


「あーあ、せっかく褒めてあげたのに。拓海ったら下心丸出しじゃん」


呆れるちえりちゃんを後ろの席の大原くんがなだめる。


「まあ、それが拓海の可愛いとこやん」


「俺、花のために頑張るよ」


拓海くんは明るくそう言って、私の両手をギュッと握ってきた。


普段ならベタベタしないでって振り払うとこなんだけど、今回は大目にみる。


「う、うん。私のためというかみんなのためにも頑張ろうね」