冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「花、どうしちゃったの?なんか急に大人になったみたいに」


ちえりちゃんは私の落ち着いた様子に目を丸くする。


「体育祭で千景くんとラブラブカップル障害物競走にでることを楽しみにして今は辛抱するんだ」


「はあ、障害物競走ね。1位をとったらなんとかってジンクスがあるんだよね?」


ちえりちゃんに大きく頷いて、そのジンクスのことを詳しく力説した。


それは昔からこの学園にまことしやかに受けつがれてきた素敵なジンクスで。


「うん、1位のカップルは学園公認のカップルとして認められて一生幸せにラブラブに過ごせるんだって」


「一生って……。その競技が始まってまだ5年足らずでしょ、確か」


すかさず突っ込むちえりちゃん。


「ううん、それがね似たような趣旨の競技が昔からあったらしくて、うちの両親はなんとそこで二人で出場して1位になったんだって」


両手を揉みしだいて立ち上がりうっとり天井を見上げる。
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