冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「高校生の時から周りがうらやむくらいにラブラブに付き合ってて大学を卒業したらすぐに結婚したんだよ。
今でも仲いいしきっとあの伝説は本当なんだよ」


「いや、ジンクスが伝説になっちゃってるし」


さすがのちえりちゃんも大原くんと顔を見合わせて苦笑い。


でもそんなことはお構いなしですっかり自分のバラ色の空想の中に入って行く。


王子様のような素敵な千景くんと手に手を取って障害物を乗り越えていく姿を想像して……。


想像はどんどんヒートアップ。


こんな熱いやり取りがおのずと浮かんできた。


『千景くん、ありがとう。あなたのおかげで1位になれたよ』


高揚しながら二人でゴールテープを切った私達。


『そんなの当り前じゃないか、俺たちの愛の力はどんなカップルにも負けないよ』


キラキラと瞳を輝かせる千景くん。


『千景くん、大好きだよ』


『花、俺の方が何倍も好きだよ』
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