冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「ご協力お願いしまーす」


ビラを配りながら帰ろうとしている普通学科の生徒達に説明をしにいく委員たち。


1人1人に声をかけているが、立ち止まるものもいれば無視して素通りするものもいる。


「今回の体育祭では学科対抗戦ではなく、学年対抗戦にしたいと思います。みなさんご協力ください」


花は普通学科の数名の男子生徒たちの前に立ちはだかって、一生けん命に署名を募っていた。


ニコニコ愛想良く笑っていて慣れた様子だ。


「……」


彼女が俺以外の男にあんな可愛い笑顔を見せるのが悔しい。


そんな嫉妬をしてしまうほどに今の俺の心は小さい。


もし、誰かが彼女を好きになったりしたらって思うと気が気ではない。


花はすごい美人ってわけじゃないけど、笑った顔がとても可愛らしいんだ。


癒し系って感じのタイプだな。


お日様みたいに温かいその笑顔はいつだって俺だけに向けて欲しいって思ってしまう。
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