冷たい千景くんは１０分だけ私の言いなり。
父は言いにくそうに続けた。


「いや、その相手は随分とモテる男子らしいじゃないか。
学科も違うのにどうして付き合うことになったんだい？
拓海くんはこのことを知ってるの？」


昔から父は我が家の遠縁にあたる拓海くんのことを気に入っているみたいだった。


将来、私と彼が結婚したときのことなどを、冗談めかして言うくらいだから、少しは期待していたのかも。


だけど、私の運命の相手はどうしたって千景くんだけ。


父には悪いけど、これだけは譲れないよ。


「学科は違うけど、私から告白して付き合うことになったんだよ」


河井先生からもしかしたら聞いているかもしれないから、正直に話した。


父はえっと言って目を丸くする。


「告白って、花からしたのかい？
その男子の方からじゃなくて？」


始め父は凄くビックリしているみたいだったけど、そのうちに目を吊り上げて苛々しだした。
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