冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
だけど、今は父とゆっくり話し合っている時間がなかった。
「あ、いけない。もうこんな時間だ。いってきまーす」
時計を見たらもう家を出ないといけない時間だった。
今日はいつもよりもうんと早く学校に着かないといけない。
早く学校に行って、体育祭の準備をしないと。
こうしちゃいられない。
「あ、花、ちょっと待ちなさい」
父が慌てて引き留めようとするけど構わず家を飛び出した。
パパったら、千景くんの話を聞いてあんなに怒っちゃってどうしたんだろう。
彼のことをなんにも知らないくせに。
だけど、父親って娘の彼氏のことはどんな相手であろうが気に入らないものらしいし、仕方ないのかな。
今日、千景くんが嫌じゃなければ父に紹介してもいいけど。あの調子だとややこしいことになるかもしれないからどうしょうかな。
学校へ送ってもらう車の中でそんなことを考えてはため息をついていた。