冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
1人じゃ頭が回らないときは一緒にいる拓海くんが気を利かせて助けてくれる。


「花、この先長いから休めるときには休みなよ」


「うん、ありがとう拓海くん」


「頑張ろうね」


そう言って可愛い瞳を細めて笑う拓海くん。


今日は私同様、彼も凄く張り切っているみたい。


この日のためにたくさん時間をかけて準備してきたんだもん。


今日の体育祭は絶対最後まで頑張りたいな。


「俺たち何をしたらいいですか?」


その時後ろから声をかけられて振り向くと、あって声をあげるくらいにビックリした。


「千景くん、伊達くん」


そこにいたのは私の彼氏とその友達。


「俺たち当日手伝い係なんで」


体操着の紺色のトレーナー姿の千景くんを、この時久しぶりに見たからしばし見とれてしまう。


ま、まぶしい。まぶし過ぎる。


理知的な印象の強い彼だけど、スポーツも万能で背も高くてスラリとしている。


きっと今日の体育祭でも活躍して全校女子の注目を集めるに違いない。
< 275 / 351 >

この作品をシェア

pagetop