冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
親友のちえりちゃんには隠し事できないな。
いつも私の気持ちバレバレなんだ。


「ううっ、ちえりちゃん。
噂のとおりだったの。
千景くんは、私といやいや付き合ってて、それで……」


精一杯、張り詰めていた気持ちが崩れていく。


もうこのドロドロな思いを誰かに吐き出してしまいたい。


「ちえりちゃん」


頼れる親友の胸に飛び込んでいき、シクシクすすり泣いた。


「え、ちょっと落ちついて。ゆっくり最初から話してよ」


ちえりちゃんは凄くびっくりした様子で尋ねてきてくれたから、さっき起きたことをこまかに話した。




「そっか、彼、認めちゃったんだね。まあいずれわかることだしね」


「え?」


なんだか、ちえりちゃんは始めから分かっていたような口ぶりだ。


あまり驚いてもいないみたい。


「どうして?ちえりちゃんは知ってたの?」
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