冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
嫌われたかと思うとそれ以上踏み込むのが怖くて、引き下がってしまった。


「……」


「いいか、おまえはまだ全然ベストを尽くしてない」


伊達は険しい表情で詰め寄ってきた。


図星をつかれた気がして、グサっと胸に刺さる。


確かに、俺はあの時何も言えなかった。


「いいか、おまえのやるべきことは彼女に泣いてすがりついて別れ話を白紙にもどしてもらうことだ」


それは……。


しかしさすがに泣いてすがりつくまでしたくないな。


「わかったな?」


「いや、わかんねーよ」


「は?おまえまだわからないのかよ。女の子の別れようは別れたくないって意味だ」


そうなのか?
じゃあ花も?


けど、こんな話どこまで信用していいか微妙だ。


「伊達、おまえフラれてなかったっけ?」
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