冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「おう、頑張れよ千景、骨は拾ってやるからな」


「骨……」


縁起でもない言葉と共に、俺は伊達に背中を押されたのだった。




入場門に近づくと、花の姿を探した。


同じ色の体操着だからセレブ学科も普通学科も見分けがつかない。


カップルだらけで2人1組で集まっている中で、花はきっと1人でいるんだろうな。


なかなか見つけられずに困っていたら、後ろから肩をポンと叩かれた。


振り返るとニコニコ愛想良く笑う見覚えのある奴が、早口で話しかけてきた。


「雨城くん、話は聞いてんで。花ちゃんと喧嘩したんやて?
女の子には優しくしたらなあかんで。
仲直りしたいからここにきたんやろ?よかったら俺がコツを教えたろか?」


「えーと、誰だっけ?」


関西弁のイントネーションに聞き覚えがあるけどすぐに思い出せない。
< 308 / 351 >

この作品をシェア

pagetop