冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
それよりも気になったのが、彼女の細い手首に巻かれた赤いリボンが隣の拓海の腕とつながっていたこと。
これには正直むかついた。
おいおい、そいつが俺の代わりなのかよって。
そう思ったら抑えられないくらいの苛立ちが沸き起こってきた。
だけど、嫉妬なんてしてる場合じゃないんだ。
こうなったのは不甲斐ない俺のせいなんだから。
花を取り戻さないといけない。
もう一度彼女を振り向かせたい。
今度は、自分の意志で彼女を手に入れるんだ。
この時、静かにそう決心した。
俺は拳をぐっと握り、ゆっくりと彼女のいる方へ歩を進めた。