冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
彼の息づかいもさすがに苦しそう。


だから一生懸命励ました。


「がんばれ、がんばれ」


ハアッ、フウッ。


だけど、歯を食いしばりながら耐える彼が心配になる。


千景くんは全速力で走っているから消耗も激しそうだ。


その上この距離がなかなかのもので、ラブラブ競走だなんていうゆるいネーミングに騙されてたけど、これはかなりの体力勝負。


おんぶならまだしもお姫様抱っこは走りづらそう。


次の障害物は抱っこしたまま平均台をのぼらないといけないみたい。


ひえっ、これもかなりキツイよね。


いくら千景くんでももう限界だよ。


こんなことならダイエットしておくんだった。


そしたら彼の負担を少しでも減らせられたのに。


彼は平均台の前で一旦足を止めて、私をもう一度抱え直した。


そして荒くなった息をととのえている。


「花っ、ハアハア……」


苦痛に顔を歪める彼。
< 332 / 351 >

この作品をシェア

pagetop