冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
ベッドで千景くんに迫られて⁉︎ side花
(side花)
「花、もっとこっちおいで。それともう少し口をひらいて」
何度目かのキスの後、千景くんは落ち着いた様子でそう言ってにっこり笑った。
綺麗な笑顔にうっとりしていたら、またすぐに口づけされる。
「んっ……」
千景くんの柔らかい唇は熱くて心地よくて、私の頭の芯を甘くしびれさせていく。
彼が唇を離す一瞬にあえぐように息継ぎをするだけで精一杯。
角度を変えて幾度も触れ合う唇。
初めてキスをしたあの時よりもずっと激しい。
「ハアッ……」
身体中が熱くほてりだしてへんな声が出ちゃって恥ずかしい。
心臓もバクバクと暴れてる。
ああ、なんて、しあわせな時間。
でもでもこのままだと……大変なことになっちゃいそう。
そう思ったのは、彼の大きな手がブラウスをなぞるように触れてきたから。
えっ、えっ、これってもしかしてキスだけではすまないのでは?
「待って、ちかげく……ちょっと休ませて」
少しだけ待って、私の思考回路がいま誤作動を起こしかけてる。
いったい、いま私の身になにが起きてるの?
どうしてこうなったのか、整理してみよう。
ここは彼の部屋。
そしてベッドの上。
かねてからの予定通り、今日は勉強をしに来たはず。
だけど、彼の家には誰もいなくて。
玄関の前でどうしようって戸惑っていたら、千景くんは体育祭のときみたいにお姫様抱っこで2階の彼の部屋まで私を連れて行った。
そして、ベッドに降ろされたと思ったらいきなりキスされて。
そこからの記憶がほぼない。