冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
ああ、どうしよう。胸の鼓動が激しくて息が上手く吸えない。


だけど、私の身体中で彼を求めているのがわかる。


大好きな大好きな千景くん。


これは夢じゃないんだよね。


あの千景くんがこんなに私を欲しがってくれるなんて、告白したあの日からは全然想像もつかないよ。


最近の彼は相変わらず他の女子達には冷たいけど、私にだけは甘くて優しくて。


好き、って言葉も惜しげもなく注いでくれる。


彼の大きな手に優しく触れられるたびに、つま先がビクンとなって小さく吐息が漏れる。


「ンッ、ちか……げくん」


「花」


お互いの息づかいがどんどん熱くなり理性は崩壊寸前で。


互いの身体が触れるたびに喜びが溢れていく。


ブーン、ブーン。


だけど、電話のバイブ音がなんだか気になってきた。


あれ、そう言えばさっきからずっと鳴っていたみたい。


彼は無視して、私の首すじに唇をおしあてる。


どうやら千景くんの鞄の中から音がしているみたい。


「千景くん、千景くん、電話だよ」


「あとで」
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