冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「あの、ありがとう。私を彼女にしてくれて。これからどうしたらいいかな。連絡先交換とかしてもいいですか?」


ニコニコと嬉しそうな笑顔を向けられる。


「は?なんのこと?」


「え?だってさっき確かに付き合うって言ってくれたし」


「あー、そうか。言ったか。言ってたね、俺」


ハハと力なく苦笑いして後頭部をかいた。


さっきは先生がいたから、その場しのぎのつもりで返事をしてしまった。


実はそんな気はサラサラ無い。


どうしたものかな。


「あの、私実は付き合ってもらえるなんて思っていなかったです。
ほんとにありがとう」


そう言って深々と頭を下げてくる彼女。


マズイ、このままだと彼女の中でどんどん話がすすんでいく。


なんだろう、やっぱり付き合えないと言うのはさすがに罪悪感が。


うまいことを言って、なんとか諦めてもらえないかな。

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