冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
ちゃんと意味が通じてるのかな?


この子ぼんやりしてるから、よくわからないな。


「だから、付き合うといっても君にあげられる時間があまりないんだ。
そんなの嫌だろ?だから、俺のことは諦めて……」


多少強引だがこれで納得してくれるだろう。


「わ、わかりました」


俺の話を遮るように彼女が口を開く。


そして急に近寄ってきて俺の手をギュッと握ってきた。


わかってくれたのか?助かる。


だがしかし、彼女は諦めたわけでは無くて。


「私、雨城くんの負担にならないようにしますから」


そんな健気なことを言い出した。


「いや、ほんとに俺なんてやめたほうがいいよ。無愛想だし、つまらないと思うし」


彼女は大きくかぶりを振る。


「付き合っても毎日ほんの少しの時間しか君に費やせないんだぞ」


「う、うん。それでもいい」

< 41 / 351 >

この作品をシェア

pagetop