冷たい千景くんは１０分だけ私の言いなり。

「ねえ、ちえりちゃん、彼氏とはいつもどんなことしてるの？」


「え？どんなことって。
でも花の場合は10分間だよね。そんな短い時間でできることでしょ？……まあ、いろいろあるにはあるか」


それからうーんと考え込みながらちえりちゃんなりにアドバイスをしてくれた。


「おしゃべり以外にもできることはあるかもね。学校の中でってことだよね？」


「うんうん」


「一緒に食事するとか」


「うんうん」


「駅までの帰り道を一緒に帰るとか」　　


「ふむふむ」


「彼氏、頭がいいから勉強を教えてもらうとか？」


「ふむふむ」


「それにハグやキスくらいなら５分もあれば」


「ええっ」


くらいって、そんななんでもないことみたいに軽く言われても。


「そ、そんな、、、まだ早いってば。そんなの」


ガタンと椅子ごと飛び上がってしまった。