冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「でも、さっきの話やと10分だけやとかなんとか言うてたやん。それなんか変やで。騙されとるんとちゃうか?」


「なんだよその10分って?」


拓海くんが興味津々に尋ねてくるので困った。


あんまり誰にでもペラペラと千景くんとのことを話したくないな。


これはいわば、私達ふたりのルールっていうか、他の人に話したって理解されないものかもしれないし。


もしも雨城くんのことを悪く言われたらたまらないし。


「花が言えないんなら直接雨城に問いただしてくるっ」


だけど、拓海くんがこんなことを言って騒ぎ出したので仕方なく事情をかいつまんで説明することになったんだ。


「わかったよ、全部話すから。その代わり私達のことはそっとしておいて」


「私達って……」


青い顔をして絶句してしまう拓海くん。


その後、なるべく雨城くんのことを誤解されないように慎重に説明したんだけど。


「なんだよそれっ。雨城のやつちょっとモテるからって、なめやがって」


「だからそうじゃないんだってばー」


結局、拓海くんはちっとも納得してくれなかった。


まあ、拓海くんにどう思われようが別にいいんだけど、雨城くんに迷惑が掛からないようにしないとって思った。

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