冷たい千景くんは１０分だけ私の言いなり。

ドキドキとはやる胸をおさえながら2年5組の教室の前で立ち止まった。


「え、あれれ？」


もう授業は終わっているはずなのに、みんな机に座って勉強をしている。


中には、声を潜めて教科書を突き合わせている生徒もいて。


みんな真剣な表情。


その様子はちょっと異様な光景に見えて唖然とした。


あ、そういえば、5組は進学クラスだって聞いたことがある。


難関国公立大学を狙えるくらいのエリート集団だとかお父様が言ってたっけ。


セレブリティコースなんて、はっきり言って勉強と言っても最低限の出席日数や提出物を怠りさえしなければ付属の大学へ進学が出来る。


な、なんだか私って完全に場違いっぽい。


授業もそこそこに抜け出して、大好きな彼氏のもとへやってきた呑気な浮かれ女って思われないかな。


で、でも仕方がないか。
それが事実なんだし。