冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
低い声でそう言って小さくため息をついている。


これってやっぱり迷惑だったってこと?


うそっ、そんなぁ、悲しいよう。


「雨城くん、部外者には校舎から出て行ってもらった方がいいんじゃない?」


ガックリしている私に追い討ちをかけるように、1人の女子生徒が彼にそんな提案をしてくる。


彼女は親しげに彼に笑いかけている。


あ、この人見覚えがある。


毎朝正門で彼を待っている取り巻きの1人でいつも中心にいる人。


しかもこの彼女なかなか賢そうな美人で。


スラッと背も高くてなんとなく艶っぽい大人びた容姿。


一瞬、彼がこの女の子と仲がいいのかなっと思って嫉妬の炎がメラッとわきあがる。


だけど、雨城くんはいたってポーカーフェイスでニコリともしない。


ホッ、よかった。


やっぱり女の子には誰にでも塩対応なんだね。
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